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Q&A こどものビザ編>Q7
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Q7 息子が日本国籍を喪失していると言われ困惑しています |
Q 私は日本人男性です。妻はロシア人で、夫婦には5歳になる息子がおります。息子は2006年10月に日本で生まれましたので、日本国籍を持っていて、家族3人で日本で暮らしておりました。
最近になって息子の日本国パスポートの期限が切れそうでしたので、更新のためパスポートセンターを訪れたのですが、ここで息子のパスポートにロシア国籍取得に関する記述があることを指摘されました。
このことについてパスポートセンターの職員の方から説明を求められましたので、「息子は日本とロシアの二重国籍であると理解しておりましたので、東京にあるロシア大使館で息子の日本国パスポートにロシア国籍を併記する手続を行ないました。」と答えました。
このようなことがありましたが、この時はパスポート更新の申請を受け付けてもらうことができました。しかし後日パスポートセンターから連絡があり、「法務局に確認したところ、息子さんは日本国籍を喪失しているので、日本国パスポートを更新することはできません。」と言われてしまいました。
私は何がなんだかわかりませんでしたので、電話口で詳しい説明を求めたのですが、詳細は法務局に確認してほしいと繰り返すばかりでした。
息子は当然私の戸籍に載っておりますし、漢字の氏名を持ち、日々日本人として生活しています(精々がハーフとか、今風に言えばダブルという認識です。)。何かの間違いだとは思うのですが、これはいったいどういうことなのでしょうか?
A 結論から申し上げますと、大変に残念ですが息子さんは日本国籍を喪失しているものと思われます。
ご夫婦が在京ロシア大使館で行った手続というのは、単に二重国籍を旅券に併記する手続ではなく、ロシア国籍取得の申請のことです。ご主人も提示された書類に署名捺印をしたかと思うのですが、そこにはロシア国籍取得と書かれていたはずです。
ロシアの国籍法を見ますと、2002年7月1日以降に一方の親がロシア国籍で、一方の親が外国籍である両親からロシア国内で出生した子は、ロシア旧国籍法第12条B項の規定により出生に伴いロシア国籍を取得します(ここで一方の親が日本人の場合、3ヶ月以内に戸籍事務に国籍留保の届出を行えば二重国籍となります。)。
しかし、息子さんのように一方の親がロシア国籍で、一方の親が外国籍である両親からロシア国外で出生した子に関しては、外国籍を取得せず、無国籍となる場合のみ出生に伴いロシア国籍を取得するとされています。
息子さんは出生により日本国籍を取得していますので、無国籍の問題はありません。つまりは出生の時点ではロシア国籍を取得しておらず、したがって二重国籍にはなっていなかったのです。
子が出生に伴いロシア国籍を取得しなかった場合、ロシア国籍法第14条第6項Aに規定する手続に則り、両親の合意文書による申請に基づき、ロシア国籍を取得することが可能であると規定されています。まさにご夫婦が行った手続がこれです。
この手続を行った際に息子さんはロシア国籍を取得したようです。当然これは出生の後に生じた事情ですが、日本国国籍法第11条第1項は、「日本国民は、自己の志望によって、外国の国籍を取得した時は、日本の国籍を失う。」と規定しています。
自己の志望によって外国国籍を取得する場合というのは、帰化による場合が一般的ですが、帰化に限らず、国籍の回復・選択・登録・申告その他、名称の如何にかかわらず、外国国籍の取得を希望する意思行為に基づいて外国国籍を取得するときは、それによって日本国籍の喪失の効果が生じると考えられています。
また、未成年者がその法定代理人の行為によって、外国の国籍を取得した場合にも適用されます。ただし日本法上適法な法定代理人によってされたものでない限り、子は日本国籍を喪失しないと考えられています。
「父母の合意文書」は出生から1年以内に提出されなければならないとされていますが、ということは「父母の合意文書」がロシア国官憲に提出される時点では子は常に未成年であり、日本人とロシア人夫婦間の日本で生まれた嫡出子に関しては、法の適用に関する通則法第32条により指定される親権についての準拠法は日本法になります。
日本国民法によるとこの法定代理人は親権者である父母であるから、ロシア旧国籍法第15条と第2項の「父母の合意書」の提出によるロシア国籍の取得は日本法上適法な法定代理人の行為によってされたものであり、どうあっても覆せる余地はないものと考えます。
今後についてですが、日本国籍を喪失した場合は、国籍喪失の事実を知った日から1ヶ月以内に戸籍事務に国籍喪失届出をしなければなりません。
そして日本国籍を喪失したということは、引き続き日本で生活するためには入国管理局で在留資格取得申請(「日本人の配偶者等」)をすることになりますが、その提出期限は国籍喪失届出のように「国籍喪失の事実を知った時」とはなっておらず、「資格の取得の事由が生じてから30日以内」となっている点に注意が必要です。
入管への申請ではこれまでの経緯を詳しく説明することになると思いますが、事情を考慮して申請を「受理」するのか、または提出期限が過ぎていると判断した上で「特別受理」するのか、或いは提出期限が過ぎていて特別受理もすべきではないと判断し、形式上在宅での退去強制手続を行い、それにより在留特別許可をすることになるのかは入管の判断に委ねられることになります(当職個人としては在特になる可能性が高いのではないかと思いますが、詳しい事情が分かりませんので明確な判断はできません。)。
再度息子さんが日本国籍を取得するには帰化申請(簡易帰化)が必要です。外国籍の日本人実子が日本国籍を取得する方法としては、帰化よりも簡易な国籍取得の届出というものがあるのですが、当該届出は息子さんのように日本国籍の再取得には用いることができませんので、ご注意願います。
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