入管法65条
司法警察員は、第70条の罪(入管法違反の罪)に係る被疑者を逮捕し、若しくは受け取り、又はこれらの罪に係る現行犯人を受け取った場合には、収容令書が発付され、且つ、その者が他の罪を犯した嫌疑のない時に限り、刑事訴訟法第203条の規定に関わらず、書類及び証拠物とともに、当該被疑者を入国警備官に引き渡すことができる。
2、前項の場合には、被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に、当該被疑者を引き渡す手続をしなければならない。
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新宿出張所では通常の申請業務などは行っておらず、所在地も業務上の都合により公表されていません。
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在留特別許可
入管法には在留特別許可申請という手続はなく、退去強制手続の中で法務大臣が「特別に在留を許可すべき事情」があると判断された場合に在留特別許可となります。なお在留特別許可というのは在留資格ではありませんので、この許可により個々の資格該当性に応じた在留資格が与えられます。
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仮放免許可申請 |
収容令書による収容期間は最長60日間におよび、その後の退去強制令書にもとずく収容は出国するまで無期限に続きます。
実際半年以上収容されている人は多く、中には2年以上という人もいるほどです。その収容を中断して条件付ながらも収容者を自由にするのが仮放免です。
条件は行動範囲の制限と保証金の納付で、額は5〜30万円くらいです。また仮放免の期限は通常1ヶ月で、その度に出頭して期限を更新する事になります。
仮放免許可の判断は退去強制手続の資料がそのまま使用されるため、疑いを持たれない資料作成が重要です。
また、収容による疾病など、健康上の理由からの仮放免も認められる余地はあります。その場合は収容と疾病との因果関係や継続した治療の必要性などを、医師の診断書などで立証する必要があります。
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口頭審理 |
在留特別許可を求める場合や違反事実を争う場合に、もっとも重要な意見陳述の場面です。
裁判における口頭弁論に似ていますが、審理は1日限りで非公開で行われる為、しばしば特別審理官の一方的な糾問になるようです。
当事務所では行政書士が本人の代理人として出席し、証拠提出権や証人喚問権などを積極的に行使することで、外国人の適正手続が保障されるように努めています。
※審査を受ける外国人は口頭審理で代理人を選任する権利があります。また、親族や知人は特別審理官の許可を受けることで1人だけ立ち会うことができます。
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不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言 |
以下、入管の発表による共同宣言を抜粋します。
●首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言
現在わが国においては、約22万人の不法残留者のほかにも、密航船の使用等で不法入国し、我が国に潜伏している者が約3万人いると推計されており、近年における摘発の強化にもかかわらず、依然として不法に滞在する外国人は高い水準で推移している。
不法滞在者は、その多くが不法就労活動を行っているほか、外国人組織犯罪の温床になっているとの指摘もあり、一層強力な不法滞在対策を講じることが、我が国の不法滞在者問題を解決する上で不可欠な課題である。
こうした認識の下、まず約25万人の不法滞在者のおよそ半数が集中していると見られる首都東京において、従前にも増して関係機関が連携を強化し、強力かつ思い切った対策を推進する必要があると考え、法務省入国管理局、東京入国管理局、東京都および警視庁が共同で不法滞在者に関する連絡会議を開催し、有効な不法滞在者対策について協議を重ねた結果、平成15年10月17日、首都東京の不法滞在者を今後5年間で半減させるべく、共同宣言を出すこととなった。
共同宣言の概要は次のとおりである。
(1)不法滞在者の摘発の強化と効率的な退去強制
ア 入管法第65条を活用するなどして、早期かつ効率的に退去強制手続を進める。
イ いわゆるリピーター等の悪質な不法滞在者に対しては、厳格な処罰に向けた捜査を
実施する。
ウ 東京入国管理局において、摘発・退去強制部門の人的体制の強化及び収容施設の
効率的な活用に努める。
エ 東京入国管理局から留置嘱託依頼等があった場合、警視庁において可能な限り協
力する等業務支援に努める。
(2)入国・在留資格審査の厳格化
「留学」、「就学」等の在留資格については、不法就労目的の者が多く存在しており、その手段も悪質巧妙化しているため、実態調査の強化を始めとする審査の厳格化を図るとともに、関係機関相互の情報を密にして関連事犯の取締りを強化する。
(3)不法滞在を助長する環境の改善と悪質事案の徹底取締り
不法就労助長在による悪質な雇用主等の積極的な摘発等を継続的に推進する。
法務省入国管理局編 「入国管理」より
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この共同宣言を受けて東京入国管理局に地域住民、関係機関等からの不法滞在者に関する情報を一元的に受理・収集し、これらの情報を分析した上で各審査部門及び警備部門に提供する組織として、調査企画部門を新設するとともに、新宿区内を中心とした不法滞在者などの入管法違反容疑者に関する実態調査、各種情報収集及び摘発を行うことを目的として新宿出張所を設置した。
また、平成16年には、新宿出張所に統括入国警備官1名を増設し、各種情報の分析及び摘発の企画を担当する統括入国警備官と新宿区及びその周辺の繁華街等における摘発を担当する統括入国警備官とに業務を分担することにより、効果的かつ的確な不法滞在者対策を実施していくこととしている。
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このように近年の入管行政は国家統治上の要請を優先させるあまり、外国人の権利利益を置き去りにしている感は否めません。
入国管理局は法律によりとても強力な執行力を与えられています。それだけにその運用はより慎重がきされるべきではないでしょうか。
「適正手続の確保を通して入管の恣意的な判断を監視する」そのことが入管行政の健全化を促進し、外国人の人権保障に貢献するものと私どもは考えています。
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