変更後の在留資格該当性 |
在留資格変更申請では、変更を希望している在留資格の該当性を備えているか慎重に確認する必要があります。
例えば離婚に伴う「日本人の配偶者等」からの「定住者」への変更も当然に認められるわけではありません。日本人との間に出来た子の親権者になっており実際に監護養育している場合や、または子どもがいなくても婚姻期間が相当年数を経過している場合などに変更が認められる余地があります(単に法律上の婚姻関係が継続しているだけではなく、実質的にも夫婦としての共同生活を営んでいた期間が評価の対象とされます。)。
また、変更希望の在留資格が、法務省令の上陸許可基準の適用を受けるものである場合は、その基準を満たす必要があります。
例えば「人文知識・国際業務」から「投資・経営」への変更を希望している場合、投資もしくは経営に参加する会社の登記が完了し、各種営業許可を取得しているとしても、上陸許可基準に適合していなければ在留資格の変更は認められません。
それどころか従前の「人文知識・国際業務」の資格該当性からも外れる事になり、適法な滞在すらできなくなってしまうこともあります。
特に「投資・経営」などは多額の資金が関わることですので、変更申請の不許可は不測の事態を招きかねません。より綿密な計画をもとに申請することをお勧めします。
在留資格変更許可申請
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⇒「留学」から「投資・経営」への変更の基準の明確化
⇒Q&A 就労ビザ編
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就職内定後の在留資格変更許可申請 |
早いところでは、大学4年の5月頃には内定を出す企業もありますが、「留学」から就労資格への変更は、大学卒業の3ヶ月前になるまで申請できません。
そのため、もし就職する企業での仕事の内容や、専攻科目との関連性などが問題となり、在留資格変更が不許可になった場合、その時点からあらためて就職活動をすることになってしまいます。
そのような事のないように、あらかじめ内定企業での業務が、在留資格の該当性を満たしているか確認しておくことをお勧めします。
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専門学校からの就職での注意点 |
専門学校を卒業して「専門士」を取得した人も、その履修した専門課程と従事しようとする業務の内容に関連性があれば、該当する就労資格への変更は可能です。
しかし専門学校卒の外国人が就職し在留資格変更許可申請をしたところ不許可になるケースが多発しています。このことは多くの場合外国人本人に問題があるのではなく、雇用企業側が専門士が就労可能な在留資格へ変更するための許可基準を理解していないために起こります。
専門士は取得した専門士としての資格(例 商業実務課程)と就業予定の業務との関連性が強く求められますので、行なうことのできる業務の範囲は限定的です。一方学士や修士の場合であれば専攻が理系か文系かの漠然とした区分けはありますが、あまり専攻と業務との関連性は問われません。
また、学士や修士であれば当然に行なえる「翻訳」や「通訳」の業務は、専門士では実務経験が一定年数なければ行なうことができません。そのため企業側が作成した「雇用理由書」の文中にこれら「翻訳」、「通訳」の文字が入っているだけで不許可となる可能性があるのです。
留学生を採用するのが初めての企業や、採用したことはあるが専門士は初めてだという企業は事前によくその点を理解してください。ある程度の規模のある企業が採用し申請する場合でも、基準に適合していなければ入管は一律不許可処分を下します。
⇒Q&A 学生ビザ編
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在留資格変更許可申請になじまない在留資格 |
「研修」又は「技能実習」
「興行」(一部を除く)
EPA介護士・看護士研修生
上記は一例ですが、在留資格の性質や上陸の目的に鑑み、在留資格変更を認めるのが相当でないとされる在留資格が存在します。
例えば研修生が日本で出合った日本人と結婚したのだとしても、「研修」→「日本人の配偶者等」への変更申請は認められず、一旦帰国後に在留資格認定証明書交付申請で再度招へいするように指導されます。
また、飲食店等で興行を行うエンターティナーが日本人と結婚し「興行」→「日本人の配偶者等」への変更申請を行う場合は、プロモーターから結婚についての同意を貰わなければ申請ができません。
どのような目的で来日したにせよ、本邦での自由恋愛は万人に保障されるべきで、本来は婚姻生活を始めるに際して国家(入管)から「一旦帰国させよ」とか「業者の同意を取れ」と言われる筋合いの話ではないはずなのですが、入管行政を入国・在留の「手続」と考えた場合、単に手続の方式の問題ですので、それについてクレームをつけたところで、入管が考え方を改めることは現状では期待できません。
入管が変更を認めないならOSになって、然るべき後に出頭し在留特別許可を申出るのであれば別ですが、そうでない場合は入管の指導に沿うように、一旦帰国させるなり、同意書を貰うなり(同意書を出してくれない業者もいますので、その場合はやはり帰国させることになります。)の対応をすることになります。
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短期滞在からの在留資格変更許可申請 |
「短期滞在」からの変更申請は原則「不可」ですが、例外的に「やむを得ない特別の事情」がある場合に認めれています。また、次の在留資格への変更については、実務上「やむを得ない特別の事情」が要求されない、又は緩和的に措置されています。
◇定住者 ◇特定活動 ◇日本人の配偶者等 ◇永住者の配偶者等
◇家族滞在
「短期滞在」からの変更申請の具体例
本国から親を呼び寄せたい
→外国人が本国に残る連れ子を呼び寄せる場合は「定住者」の在留資格認定証明書
交付申請によりますが、いわゆる連れ親に関しては今のところこの方法は認められていません。そのため一旦「短期滞在」で入国の後「特定活動」(「定住者」と違い就労を行う事ができません。)への変更許可を得ることになります。一般に親が70歳以上で自立生活が困難であるものの本国に介護者がいないなどの事情が必要とされ、詳細な資料の提出を求められます。
婚約者を短期で招へいし滞在期間中に日本で婚姻した。又は連れ子を短期で
招へいしたがそのまま日本の学校に通わせる。
→全国入管の基準というべき東京入管の本庁(品川)ではこういったケースでは通常変更申請を受理し、問題なく許可を出しておりますが、他の地方入管や、東京入管の管轄内でも各都県にある出張所に申請されたものの中には、「変更申請を認めるに足るやむを得ない特別の事情がない」として不許可処分になるものあります。
いうまでもなく、この場合は東京入管が正しく、他の地方入管や出張所の判断は、法務本省の指針を間違って解釈(或いは意図的に歪曲させている。)しているものです。
よって、このような理由により不許可となっている方は、ほとんどの場合、再申請においてリカバリーしていくことが可能です。
在留資格認定証明書交付申請により「投資・経営」を申請中だが、仕事上の必要性
から認定書交付前に「短期滞在」で来日した
→このようなケースは現実には数多く発生していますが、「短期滞在」の期限前に在留資格認定証明書が交付された場合、その証明書を添えて変更申請すれば、これを認める扱いとなっています。
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資格外活動許可 |
派遣会社に雇用され、外国語講師として一般企業に派遣されている外国人
が、公立中学校へ派遣され外国語講師として働くことになった
上記のケースでは現在「人文知識・国際業務」の資格で就労が認められています。しかし、公立中学校での語学教育を行う活動は「教育」に該当する活動ですので、資格外活動許可を得るか、または「教育」への在留資格変更申請をする必要があります。
上記のケースで、公立中学校での語学教育がメインで、一般企業に派遣さ
れることもあるという場合
→「教育」への在留資格変更申請を行い、企業での活動について資格外許可を得る必要があります。
上記のケースで、一般企業での語学教育がメインで、週に1日だけ公立中
学校で外国語講師として教育活動をしている場合
→「人文知識・国際業務」の資格のまま、公立中学校での活動につき資格外活動許可を得る必要があります。
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不許可になってしまったら |
在留資格変更申請が不許可になってしまったら、その不許可の理由を検討し、再申請での許可の可能性を探ります。
現在お持ちの在留資格の期限が迫っている場合は、とりあえず期間更新の申請をすることも必要です。(ただし、現在の在留資格の該当性を備えている場合にかぎられます)
また、この不許可処分を不服として、裁判所に提訴することができますが、裁判所は不許可処分の取消には消極的で、勝訴率は極めて低いのが現状です。
例外的に不許可の理由が、入管の事実誤認に基づくものである場合などは、何かしらの和解を引き出せる可能性もあるので、検討の余地はありますが、現実的に不服申立の手段としては機能していません。
なお、外国人本人が再入国許可を取らずに帰国してしまったり、または希望する在留資格が不許可になった際に、帰国準備のための「短期滞在」や「特定活動」への変更に応じてしまった場合などは、原告適確がなくなるため提訴することができなくなります。
結婚後に「日本人の配偶者等」への変更申請が認められなかった場合等には、在留特別許可の可能性も検討に値します。
※ 在留特別許可申請は、間違った判断で行うととりかえしのつかないことになりますので、必ず専門家に相談してください。
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特別受理 |
明文上規定はありませんが、期間経過後の更新申請や在留資格変更申請、または在留資格の取得申請(出生時など)であっても、明らかに許可に該当するが、期限内に申請できなかった場合(本人に帰責性がないこと)や、または訴訟での和解の結果として、実務上特別受理が行われています。
特別受理された事案は許可になる可能性はほぼ確実といえ、許可の見通しの立たない事案は、そもそも特別受理されることはありません。
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