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Q&A オーバーステイ・在留特別許可編>Q5
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Q5 養子縁組による在留特別許可は可能でしょうか? |
Q 私は日本人男性で年齢は57歳です。私は同じく日本人である妻と共にアパートを経営して生計を立てております。
私どものアパートには中国人の女性がおります。彼女は4年前語学留学生として来日、しかし1年後には高額な学費が払えなくなり除籍処分となり、以後オーバーステイの状態にあります。
彼女はとても明るくやさしい性格で、子供のできなかった私ども夫婦にとっては大家と店子の関係を越えて実の娘のようにさえ感じています。
そこで質問なのですが、私ども夫婦が彼女を養女に迎えることでビザ取得は可能なのでしょうか。
A 一般的には特別に在留が認められるためには日本人または永住資格をもつ外国人と婚姻した者、日本人の子どもを養育する者、日本人との婚姻後相当年数経過後に離婚した者等である必要があります。
もちろんこれが全てではなく、実際にはさまざまなケースで個別の事情を斟酌し、審査がされています。
しかしながら入国管理局は、養子縁組により身分関係を形成するに至った不法滞在の外国人にかかる在留特別許可該当性について頑なに否定し続けております。
ただし、この問題について平成17年7月20日、横浜地裁において画期的な判決が出ました。
判決によると1995年、偽装結婚で入国した外国人女性が離婚して在留資格を失ったが、自宅清掃の仕事で知り合った70歳代の日本人女性の世話をするうち、2001年1月にこの日本人女性の養女となったもの。
裁判長は在留特別許可について、「外国人が日本人と真摯な養子縁組を行い、互いに助け合って同居生活している場合、婚姻関係と同様に、生活の安定性を示す事情として重視されなければならない」との判断を示しました。
そのうえで、「仮に強制送還すれば、老女の生活は相当程度支障を来すだけでなく、双方とも精神的に深い打撃を受け、人道的見地から看過できない。」さらに「法務大臣のした在留不許可の判断は社会通念上著しく妥当性を欠く」として退去強制令書の取消しを命じました。
この判決により養子縁組による在留特別許可、あるいは在留期間更新許可や在留資格変更許可に扉が開かれたことは大変評価に値します。
しかし画期的な判決には間違いないのですが、今だ下級審において出されたに過ぎない判決であり、入国管理局がこのまま引き下がるとは到底思えません。
したがってこの判決が確定するためには最高裁の判断を待たねばなりませんが、果たして横浜地裁の出した判決がそのまま維持されることになるかは大変注目されるところです。
ですので現時点において養子縁組することで在留特別許可が認められるかという問いに対しては、大変難しいと言わざるを得ません。
それに今回のケースと判例のケースでは養親の年齢の違い、他の介護者の不存在等の違いがありますので、そのまま当てはまるものではありません。
ただし判決の事例のように今の時点で縁組を成立させておき同居の実績を積んでおくことには実益があるものと考えます。
数年後上記の判決が維持されたまま確定し、それによる入国管理局の運用改善に期待したいところです。
※残念ながらその後東京高裁は上記原判決を取り消し、非控訴人(原審 原告)敗訴の判決を言い渡しました。(平成18年1月18日 控訴認容判決)
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