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Q&A オーバーステイ・在留特別許可編>Q3
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Q3 起訴されてしまうのでしょうか? |
Q 私は日本人男性です。私の内縁の妻(タイ人)についてお尋ねします。彼女はタイの農村部の出身で2年ほど前にブローカーの手引きで観光ビザを取得して来日し、その日のうちに数百万円の借金を背負った事実を告げられホステスとして働かされていました。
そして来日してまだ間もない頃でしたが私がそのお店に客として訪れた時に人目惚れして交際が始まりました。私は彼女にホステスの仕事を辞めさせいっしょに暮らしたいと考えるようになり、彼女の借金を私が全額支払うことで自由の身にしてもらい、以後彼女は私と暮らしていました。
そして3日前の夕方頃、いつものように妻がスーパーに買い物に出かけた時に路上で警察に職務質問をされ、オーバーステイの容疑で逮捕されてしまいました。
警察の話だと起訴されるかどうかは検事の判断なのでわからないということでしたが、このような場合はやはり起訴されてしまうのでしょうか。ちなみに妻は他に法律に違反するようなことはいっさいしておりません。
A 通常警察官が容疑者を逮捕した場合は速やかに取り調べを行い48時間以内に検察に送検されます。しかし入管法には刑事訴訟法の特例として不法入国、不法滞在、不法就労以外の罪を犯した嫌疑のないときに限り、48時間以内に検察官ではなく直接入国警備官に引き渡すことが出来る旨規定されています。(入管法65条)これにより刑事裁判を経ることなく入国管理局において退去強制手続が開始されます。
ですので今回の場合もおっしゃる通り他の違法性がないのだとするとこの特例が適用されるケースであったと思われますが、質問文を読む限りはそうはなっていないようです。
しかしこの特例を適用するかどうかの判断は警察に委ねられており、必ず適用されるものではありません。適用されない理由としては以下のようなものが考えられます。
○パスポートや外国人登録証を所持しておらず本人性の確認が取れない。
→逮捕から48時間以内に国籍、氏名、住所等が明らかにならないと特例は適用しないのが一般的です。今回の場合入国の際にブローカーの手引きがあったということですので、パスポートの氏名や年齢等の個人識別データが事実と一致していない可能性があります。
○過去にも退去強制歴がある
→違反を繰り返す者にはより重い刑罰が課される可能性があり、刑事訴訟手続を省略するわけにはいかないからです。
○48時間以内に入国管理局側の受入れ態勢が整わない。
→金曜日や土曜日に逮捕された場合にこのようなことが起こります。冗談みたいな話ですが、入国警備官(および入国審査官)の出勤状況に左右されるわけです。
○逮捕された所轄署において入管法の理解が不十分。
→東京都においては全国に先駆けて積極的に特例を活用することで事務の軽減を図っており、運用において定着している感があります。他の道府県についても先ごろ警察庁の通達により全国的に特例の活用を積極化するとされましたが、現実は警察官個人レベルでの入管法の理解不足、あるいは地方入国管理局側の人員不足(怠慢もありますが)等により統一された運用とはなっていないようです。
理由はさて置き、今回の場合現実として送検されてしまっています。では今後10日拘留後に拘留延長さらには起訴されることになるのかについてですが、その可能性は著しく低いものと考えます。
なぜなら今回のケースでは入管法違反について争いがあるところではありませんので、裁判をしたところで公判1回、次回判決で執行猶予付きの判決がでるのが初めから分かりきっています。そして有罪、無罪との判決とは別に入国管理局で退去強制手続が取られ、多くの場合退去強制となるのです。このような案件に時間を取られるほど検察官も裁判官も暇ではないというのが本音でしょう。
ですので起訴されるかというご心配については杞憂であると存じます。しかしながら上記にもありますように入国管理局は起訴・不起訴または有罪・無罪とは関係なく独自の審査で退去強制を決定します。
そのため結局はご本人が在留特別許可の該当性を備えていなければ退去強制を免れることはできませんが、今回の場合、法律婚成立を前提に考えれば在留特別許可の該当性を備えることは十分可能だと考えます。
※また、質問文の内容だけでは読み取れませんが、あるいはご本人は人身取引の被害者に該当する可能性もあります。もし人身取引の被害者の可能性が高いと認められた場合は、その事のみをもって在留特別許可の該当性があります。(入管法50条1項3号)
したがってその場合は婚姻障害がある場合(一方または双方に配偶者がいる等)でも在留特別許可は可能ということになります。
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