|
Q&A オーバーステイ・在留特別許可編>Q6
|
Q6 OSの彼と結婚したいです。私は公務員ですが大丈夫でしょうか・・・ |
Q 私は日本人女性で、職業は公立高校の教員です。私には語学スクールで知り合ったアメリカ人の彼がおり、現在同棲しています。
彼は知り合った当初は語学スクールの講師でしたので「人文知識・国際業務」の在留資格を持っていましたが、その後勤め先の語学スクールが倒産してしまい、思うように転職先も見つからないまま在留期限を向かえてしまいました。
本来であれば在留期限までに一旦国に帰るなりして、再度来日すればよかったのでしょうが、その頃には私との交際が始まっていて、ふたりとも離れ離れになるのが嫌で、ついついそのまま滞在を続けてしまいました。
私は今3年生の担任をしております。生徒達にはとても大事な時期であり、私も仕事に集中したいのですぐには難しいのですが、春になって仕事が落ち着いたら彼との結婚を考えています。
私の両親は共に元教員で、とても厳格な家庭に育ちましたので、オーバーステイの外国人と結婚することをすんなり認めてもらえるとは思えず今から頭が重いのですが、そのことに加え、今までオーバーステイの彼を匿って(犯人隠匿?)いたことが当局にバレると、私が何か罪に問われ、両親を更に悲しませてしまうことになるのではと思うと、心が挫けそうになります。
公務員の私が、オーバーステイの彼と結婚した場合に入国管理局はふたりの結婚を認めてくれるものなのでしょうか。
A オーバーステイの外国人を匿っていていることで罪に問われるかどうかについてですが、確かに刑法には「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃亡した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられる。」(刑法第103条)という条文があります。
しかしながらオーバステイの外国人を匿ったからといって、この法律の適用を受けて逮捕されたという話は、少なくとも当職は聞いたことがありません。
犯人蔵匿罪や犯人隠避罪に問われる恐れは杞憂であると存じますが、公務員には国家公務員法及び地方公務員法にある通報義務が課されている問題があります。
ただし入管法違反者を発見した時に適用される法律は、上記の国家公務員法や地方公務員法ではなく、この場合の特別法である入管法62条です。
入管法62条では、第1項で入管法違反に該当すると思慮する外国人を知ったときは、その旨を通報することが「できる。」とあり、第2項で国又は地方公共団代の職員は、その職務を遂行するに当たって前項の外国人を知ったときは、その旨を通報「しなければならない。」となっています。
条文を素読みすると、第1項では一般人に対しては通報を行う義務を課していないが、第2項で公務員にはその義務を課しているように見えます。しかし第2項でも公務員が「その職務を遂行するに当たって前項の外国人(入管法違反者)を知ったときは」となっているのであり、反対解釈をすると「職務外で入管法違反者を知ったのであれば、通報の義務はない」と言うことになるのです。
今回のおふたりについても、彼が入管法に違反することを知ったのは高校教員としての職務と関係がないことは明白でありますので、一般人同様入管法第62条第1項の規定どおり、通報の義務は課されないものと考えます。
現に当事務所で在留特別許可のお手伝いをした依頼人の中には少なからず公務員の方々がいらっしゃいました。一例を挙げると
・教員
・小学校用務員
・市役所職員
・消防士
等の方々がいらっしゃいましたが、問題なくお相手の外国人に在留特別許可を付与されておりますし、日本人の方が罪に問われたということもありません。
ただし、これは当事務所で取り扱った事案ではなく新聞報道されていた内容ですが、とある県警の警部補(生活安全課)が、不法滞在の外国人女性と同棲していたことが発覚し、入管法第62条違反により書類送検されたという事件がありました。
この場合も恋愛関係になり同棲していたのでしょうが、事の始めがまさに「その職務を遂行するに当たって前項の外国人を知ったとき」に該当していますので、その意味で免責されなかったということです。(その後当該警部補は依願退職したとありましたので、確かなことは分かりませんがおそらく起訴猶予となったのではないかと推察します。)
上記の警部補については特殊な例かと思いますし、今回のおふたりには当てはまりませんので、あまり心配はせずにあくまで一般人として、婚姻後夫婦で出頭し違反事実を申告するようにしてみてはいかがでしょうか。
※ 入管法第62条第2項の解釈についての法務省入国管理局の見解は「入管法第62条第2項に基づき、国又は地方公共団体の職員には、その職務を遂行するに当たって、退去強制事由に該当する外国人を知ったときは、通報義務が課せられている。しかし、その通報義務を履行すると当該行政機関に課せられている行政目的が達成できないような例外的な場合には、当該行政機関において通報義務により守られるべき利益と各官署の職務の遂行という公益を比較衡量して、通報するかどうかを個別に判断することも可能である。」としている(平成15年11月17日法務省管総第1671号通知)。具体的には医療、教育、徴税、外国人登録、労災、など多岐分野においての行政業務が優先されている。
なお、これは当職の私見であるが、62条第2項の義務が免除されるということは、自動的に国家公務員法及び地方公務員法の規定する守秘義務違反が反射的に復活するということなので、「通報しなくて良い」のではなく、仮に通報した場合には、当該公務員は守秘義務違反により違法といえるのではないだろうか。
現実的にはオーバーステイの子が通う小学校の教員が通報したり、公立病院の医師が通報したりということは聞かないので、それぞれの公務員が自身の職責と良心に基づき適切に判断しているものと思われます。
|
Q&A オーバーステイ・在留特別許可編 トップへ
⇒お問い合わせはこちら
【重要】
逮捕・収容後に在留特別許可を求める場合、中途半端な知識で行なうと取り返しのつかない事態を招く恐れがあります。必ず専門家の指導の下行なうようにしてください。
在留特別許可サポート
出頭案件 88,000円
収容案件 176,000円
詳細はこちら
|