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国際医療交流促進のための在留資格の整備等
法務省入国管理局入国管理企画官室
法務省は、平成22年12月17日、病院等に入院して医療を受けるため長期間我が国に滞在する外国人患者について、長期滞在可能な在留資格を付与することなどを内容とする「特定活動告示」の一部改正等を行いました。
1 改正の趣旨
我が国で医療を受けようとする外国人は、従来、「短期査証(ビザ)」を取得し、在留資格「短期滞在」により入国するのが通例でしたが、医療目的のビザがないため分かりにくいとか、長期間医療を受ける場合に日数が足りないといった指摘・要望がありました。
平成22年6月に閣議決定された「新成長戦略」において、アジア等で急増する医療ニーズに対し、我が国の医療の強みを提供しながら国際医療交流を促進するための取組の一環として、「いわゆる『医療滞在ビザ』を設置し、査証・在留資格の取扱を明確化して渡航回数、期限等を弾力化する」ことが盛り込まれました。
今回の改正は、新成長戦略に基づき、我が国の医療機関に入院して医療を受けるため長期間滞在しようとする外国人患者及びその付添人について、在留資格「特定活動」による入国・在留を可能とする措置等を講ずるためのものであり、外務省が新たに創設する「医療滞在ビザ」と合わせて、以上のような指摘・要望に対応するものです。
2 改正の内容
(1)外国人患者本人と付添人の在留資格の整備(特定活動告示の改正)
在留資格「特定活動」に係る法務省告示に、我が国の病院等に入院して医療を受けるため長期間我が国に滞在する外国人患者とその付添人に関する規定を新設し、これらの者が在留資格「特定活動」により入国・在留ができることを明確にしました。
なお、在留期間は原則として「6月」となります。
短期間の医療を目的とする外国人については、これまでと同様、在留資格「短期滞在」による入国となり、短期・長期いずれの場合も在留資格が明確になります。
(2)在留資格認定証明書の申請代理人の規定の整備(入管法施行規則の改正等)
在留資格「特定活動」で入国する際に事前に取得する「在留資格認定証明書」の申請手続を、外国人患者本人や付添人に代わって、在日親族や入院する病院等の職員が行うことができることとしました。
3 施行日
今回の措置に係る省令・告示の規定は、平成23年1月1日から施行されます。
(注1)受入れ分野には、本邦の医療機関の指示によるすべての行為(人間ドック、健康診断、検診、歯科治療、療養(90日以内の温泉湯治等を含む))が含まれます。
また、対象となる医療機関は、本邦にあるすべての病院及び診療所です(都道府県の許可又は登録を有する機関)。
(注2)受入れ医療機関が必要と判断した場合で、かつ査証官が必要と認める場合には、数次有効の医療滞在ビザが発給されます(ただし、数次有効のビザが発給されるのは、1回の滞在期間が90日以内の場合のみです。)。
(注3)滞在予定期間が90日を超える場合は、入院が前提となります。
(注4)付添人については、外国人患者との親戚関係は問いません。なお、付添人は、外国人患者の身の周りの世話をするために滞在する方で、有償であってはいけません(対価の支給が日本国内で行われるか否かにかかわらず、一律に禁止です。)。
(注5)医療滞在ビザの申請には身元保証機関による身元保証書の提出が必要です。身元保証機関のリストは外務省のホームページでご確認ください。
(注6)従来、1年以上の在留期間が決定されたもの、及び1年未満の在留期間を決定されたもののうち、1年以上滞在すると認められるものについては国民健康保険・後期高齢者医療制度の被保険者となれますが、国民健康保険法施行規則及び高齢者の医療の確保に関する法律施行規則の改正(平成23年1月1日施行)により、「特定活動」の在留資格で入国・在留する者のうち、医療を受ける活動を行う者とその付添人については両制度ともに被保険者とならないことになりました。
※注釈は甲斐国際行政書士事務所による
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