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研修・技能実習制度の見直し等に係る法務省令等の整備
平成22年1月
法務省入国管理局
はじめに
昨年7月8日に「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律」(平成21年法律第79号。以下「改正法」という。)が成立した。
改正法による研修・技能実習制度の見直しに係る規定は、平成22年7月1日から施行されるが、一部の規定は同年1月1日から施行され、見直し後の研修・技能実習制度を前提とした在留資格認定証明書交付に係る手続が同日から開始されるため、法務省においては、平成21年12月25日、関係省令を制定し、それらの改正規定に関係する省令等の整備を併せて行った。
整備の内容は、研修・技能実習制度の見直しに関係するもののほか、乗員上陸の許可を受けた者の乗員手帳等の携帯・提示義務関係の改正や在留資格認定証明書交付申請等の様式の改正等多岐に渡っているが、このうち主要な部分である研修・技能実習制度の見直しの概要は以下のとおりである。
1 研修・技能実習制度見直しの経緯
研修・技能実習制度については、研修生・技能実習生を実質的な低賃金労働者として扱うなどの不適正な受入れが増加している現状が指摘されているところ、これに対処し、研修生・技能実習生の保護の強化を図るため、改正法により出入国管理及び難民認定法が改正されて研修・技能実習制度が見直されることとなった。
具体的には、新たに在留資格「技能実習」が新設され、技能等の修得を目的とした外国人は、本邦に入国した1年目から受入れ企業と雇用契約を締結することにより、労働基準法や最低賃金法等の労働関係法令上の保護が受けられるようになり、また、退去強制事由を整備して不正な研修・技能実習活動のあっせん等を行った外国人を国外へ退去強制することが可能となった。
このような研修・技能実習制度の見直しに伴い、平成21年12月25日、法務省においては、研修生・技能実習生の受入れの具体的な要件や手続の詳細を定めるため、法務省令等を整備した。
2 研修・技能実習制度の見直しに係る法務省令等の整備の概要
(1)「出入国管理及び難民認定法施行規則」(昭和56年法務省令第54号)、「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」(平成2年法務省令第16号。以下「上陸許可基準省令」という。)について、「出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令」(平成21年法務省令49号)及び「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の一部を改正する省令」(平成21年法務省令第50号)により、所要の改正を行ったほか、新たに「出入国管理及び難民認定法第20条の2第2項の基準を定める省令」(平成21年法務省令第51号)、「出入国管理及び難民認定法別表1の2の表の技能実習の項の下欄に規定する事業上の関係を有する外国の公私の機関を定める省令」(平成21年法務省令第52号)及び「出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の技能実習の項の下欄に規定する団体の要件を定める省令」(平成21年法務省令第53号。以下「団体要件省令」という。)を制定した。
これらの省令は、改正法のうち研修・技能実習制度の見直しに係る規定の施行日である平成22年7月1日から施行されるが、同日後に本邦に入国する技能実習生に係る在留資格認定証明書交付申請については、同日前であってもこれらの省令による新たな基準等が適用される。
また、新たな技能実習制度の下で適正な技能実習を実施するために、監理団体や実習実施機関等が留意すべき事項、不正行為となる事項について示した技能実習生の受入れに係るガイドラインである「技能実習生の入国・在留管理に関する指針」(以下「指針」という。)を策定した。
今回の研修・技能実習制度の見直しは、研修生・技能実習生の保護の強化という喫緊の課題に対処するためのものであり、今般制定した法務省令や指針においても、この趣旨を受けた措置を講じており、見直し後の研修・技能実習制度が適正に実施されることが期待される。
(2)受入れの態様には、企業が単独で受入れる場合と、団体の監理の下に受け入れる場合とがあるが、平成20年に新たに入国した研修生約10万2000人のうち、その約7割が事業協同組合等の団体の監理の下に当該団体の会員企業が研修生を受け入れる団代監理型による受入れであることから、今回整備した法務省令の概要について、団体監理型の受入れに係る在留資格「技能実習1号ロ」による受入れの要件を中心に説明する。
@ 技能実習生の保護に係る主な要件
技能実習生の保護に係る要件として、企業等での技能等修得活動を開始する前に、いわゆる座学形式による講習を一定時間以上監理団体が実施することを義務付けるとともに、この講習のうち、出入国管理及び難民認定法、労働基準法等の技能実習に関連する法令や技能実習に係る不正行為が行われていることを知ったときの対応方法など技能実習生の保護に係る必要な情報の講義については専門的な知識を有する外部講師が行うこととし、また、技能実習生が技能等研修活動中に死亡又は負傷等をした場合に備えて、実習実施機関が労働者災害補償保険に係る届出等の措置を講じていることなどを上陸基準省令で規定している。
併せて、団体要件省令では、監理団体による技能実習生のための相談体制が講じられていることや、企業等での技能実習の継続が困難場合に、新たな実習実施機関の確保に努めることなどの技能実習生の保護に係る要件を規定している。
A 団体の監理の強化に係る主な要件
団体による監理の強化に係る要件として、3ヶ月に1回以上実施することとされている団体の役員による監査について、これまで在留資格「研修」の期間中のみ監査の実施を義務付けていたが、本邦での技能実習が終了するまで監査を継続して行うこととしている。
また、技能実習1号の計画については、団体の役職員(当該団体の監理の下で技能実習を実施する技能実施機関の経営者又は職員を除く。)で、技能実習生が修得しようとする技能等について一定の経験又は知識を有し、技能実習計画を適正に策定する能力のある者が策定することを要件としている。
さらに、技能実習1号の計画に関連して、1ヶ月に1回以上、監理団体の役職員が技能実習を実施している企業等を訪問して、技能実習の実施状況を確認したり、指導を行うことを新たに要件として加えている。
なお、この訪問指導を行う役職員については、指針において、団体が策定した技能実習計画の内容を純分に把握し、実習実施機関に対して適正な指導を行うことができる者が行うこととしている。
B 不当な金品徴収の禁止に係る主な要件
上陸基準省令において、送出し機関等が技能実習に関連して技能実習生等から保証金を徴収したり、本邦での労働契約の不履行に係る違約金を定める契約等をすることを禁止しており、技能実習に関係する機関相互間においても、技能実習生の労働契約の不履行に係る違約金を定める契約等を禁止している。
これらについては、在留資格認定証明書交付申請において、送出し機関と技能実習生本人との間の契約書等の提出を求めること等により確認を行うことにしている。
また、これまで不明瞭との指摘もあった団体が企業等に請求する監理の費用については、技能実習生を受け入れる前に、費用を負担することとなる企業等にその金額と使途を明示するとともに、技能実習生本人には一切負担させないことを要件にしており、在留資格認定証明書交付申請でも管理費用の金額と使途を明示する文書の提示等を求めている。
C 重大な不正行為に対する受入れ停止期間の延長
不正行為については、不正行為を認定する基準をより明確化すべきである等の指摘があったことから、上陸基準省令において不正行為の類型を明確にするとともに、技能実習生等の人権を著しく侵害するような重大な不正行為については受入れ停止期間をこれまでの3年間から5年間に延長している。
D 過去の不適正な行為等による欠格事由の新設
受入れ側の企業や団体等の役職員が研修・技能実習に係る不適正な行為や法令に違反する行為を行っていた場合には研修生・技能実習生の受入れを一定期間行うことができたいなどの欠格事由を新設している。
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